インドの実情を知るのに「インド・シフト」は打ってつけです。
インドを分析して日本の問題点を指摘している

「インド・シフト」の著者はソニー・インディア・ソフトウェア・センターで社長を務めた経験のある武鑓行雄氏です。
著者は現在インドのIT業界団体のNASSCOMの日本委員会の委員長をしています。
この「インド・シフト」では、アメリカのIT企業であるインド・シフトを分析してインドの実体経済について解説しています。
また、現在世界各国の有名企業がインドに進出している理由も分析しています。
実は戦略拠点や研究開発拠点をインドに移しているグローバル企業が増加しています。
たとえば、インド南部のバンガロールという都市にはマイクロソフト、グーグル、Amazon、サムスン、ゴールドマン・サックスなどが開発拠点を移していて、インドのシリコンバレーといわれているほどです。
本書のタイトルとおりに先進国はもちろん、中国や韓国の有名企業が「インド・シフト」をしているのです。
それにもかかわらず日本企業は相変わらずインドの方に目を向けていないということを著者は指摘しています。
このまま世界の動向に合わせることなく進んでしまうと日本はますます取り残されるばかりだと厳しく主張していて、今後は日本企業はインドの人的資源を活用して企業の成長を促すことを提言しています。
経済格差があるがIT技術は欧米に匹敵する

「インド・シフト」によると、インドでは経済格差が大きくて地方や農村部ではまだまだインフラ整備がされていません。
水洗トイレも固定電話もない状況にあります。
しかしながら、その一方でスマートフォンが普及していたり、IT産業が非常に隆興しています。
特にIT技術はアメリカのシリコンバレーに匹敵していて世界中から注目されています。
そして、IT系のスタートアップ企業の数も欧米に負けないくらいの規模になっています。
毎年理工系大学の新卒者が100万人以上もいてそのうち20万人くらいがIT業界に就職しています。
こうした人的資源もインドの魅力です。
このように、インドはこれまでの後発国とも先進国とも違った発展をしています。
しかしながら、日本ではインドのIT系企業と連携することがほとんどありません。
そんな中、ソフトバンクがインドのスタートアップ企業に投資をしました。
著者は孫氏の先見の明を賞賛しています。
今後のイノベーションの発信地はシリコンバレーとバンガロールの時代に突入していく可能性が高いです。
いまだに年功序列や終身雇用が当たり前になっている日本とはインドは実力主義と成果主義を全面に出していますので、今後ますます発展していくでしょう。
インドは摩訶不思議な国

「インド・シフト」を読んでみた感想は、インドにこんなにも人を惹きつけるものがあったのかという驚きでした。
これまで私はインドと何のかかわりも持っていなくて、大学時代に仏教学を専攻していたことからインドの歴史について少し調べてみたことがあるだけでした。
しかし、本書では世界中のどこにも存在しない目覚しい発展を遂げていることが本書でわかりました。
いまだに日本のようにインフラが整備されていなくても水洗トイレもないのに、IT技術は先進国並みで世界中のグローバル企業が進出しているという独特の様相を呈しています。
インドとかかわりを持っていなくても、インドで何が起こっているのかの実例やスタートアップ企業を多く紹介していますし、世界情勢を知る上で面白い読み物になっています。
本書を読んでみて思ったのはインドにはすさまじい潜在力を備えているということです。
IT大国のインドと日本はもっと協力的に付き合っていくことを考えていかないといけないなと思いました。
本当にインドは摩訶不思議な国で、本書を読んでインドに強く惹かれました。
今後インドがどうなっていくかとても楽しみです。
「インド・シフト」の内容と感想のまとめ

「インド・シフト」を読めばインドが摩訶不思議な魅力を備えた国であることを知ることができます。
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