ジャック・アタリ氏の経歴

ジャック・アタリ氏は、フランスの経済学者であり作家でもあります。
アルジェリアの首都であるアルジェ出身のユダヤ系フランス人であり、1943年11月1日に誕生しています。
少年時代にパリへ移住し、1963年には国立理工科学校を卒業しました。
その後パリ政治学院を卒業し、経済学国家博士を取得しました。
更にエリート官僚の将来を保証される参事院に入ったのちに、国立理工科学校やパリ第9大学で教壇に立っています。
やがて1973年にはフランス社会党へ入党し、翌1974年に当時社会党の第1書記であったミッテラン氏の経済顧問に就任しました。その後はミッテラン氏の知恵袋として、行動を共にし活躍しました。
1981年にミッテラン氏がフランス大統領に就任すると、1991年までの約10年間大統領補佐官としてその重責を担います。
大統領の側近ナンバーワンとなり、1989年のフランス革命200年祭とアルシュ・サミットでは、陣頭指揮をとっています。
1991年には自らが設立に尽力した欧州復興開発銀行(EBRD)の初代総裁に就任し、1993年まで約2年間活躍しました。
欧州復興開発銀行総裁退任後は、フランス政府参事院評議官となりました。
1998年には発展途上国支援目的でNGO(プラネットファイナンス)を創設しました。
21世紀に入っても精力的に活動を行い、2007年にはサルコジ大統領の下で、構造改革のための諮問委員会の委員長になりました。
ジャック・アタリ氏の著書

ジャック・アタリ氏は政治や経済の分野において輝かしい経歴がありますが、それと同時に思想家や作家としての顔も持っています。
1年に1~2冊のペースで文明論や歴史小説を出版しています。
1970年代には、
74年「アンチ・エコノミクス」
76年「情報とエネルギーの人間科学」
79年「カニバリスムの秩序・生とは何か/死とは何か」
1980年代では、
82年「時間の歴史」
88年「所有の歴史」
1990年代は、
91年「歴史の破壊 未来の略奪」
94年「ヨーロッパ 未来の選択」「ジャック・アタリの核という幻想」
95年「ノイズ―音楽・貨幣・雑音」
98年「21世紀事典」
99年「反グローバリズム」
21世紀に入っても創作活動は衰えを知らず、
06年「21世紀の歴史・未来の人類から見た世界」
08年「金融危機後の世界」「図説『愛』の歴史」
最近では2016年(日本では2017年)に「2030年ジャック・アタリの未来予測 ・不確実な世の中をサバイブせよ」を発表しました。
この本ではエネルギーや世界情勢や教育など、2030年までに起こりうる大変化について、ジャック・アタリ氏ならではの観点で書かれています。
もちろん単なる予測でなく、エビデンスをしっかり示しているので非常に説得力がある内容です。
この著書は主にエリート層向けに当てたメッセージであり、彼らに活発な議論を引き起こしてもらいたい意図があります。
一方で小説も発表していて、「まぼろしのインターネット」や「私の後の初めての日」などが代表作です。
このようにジャック・アタリ氏が発表した作品は非常にたくさんあり、インターネット通販などで入手することもできます。
オーケストラの指揮をしたことも!?

ジャック・アタリ氏は経済学者や作家としてのイメージが強く、欧州における知の巨人とまで言われている人物です。
非常に硬いイメージがありますが、氏は指揮者としてオーケストラを指揮した経歴も持っていて、非常に多彩な才能を色々な分野で発揮しています。
また時々ですが来日して、特別講演も行っているマルチな方です。
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