酒巻久はキヤノングループの一社にあたるキヤノン電子の代表取締役です。
ここでは経営者としても成功を収めている酒巻久について紹介します。
経歴

酒巻久は1940年3月6日に栃木県に誕生し地元の栃木県立佐野高等学校を卒業後、東京の芝浦工業大学工学部に入学しました。
大学卒業後の1976年にキヤノン株式会社に入社します。
キヤノンでは研究開発部門に所属し、VTRやコピー機、FAX機器やパソコンなどの開発に携わり大きな功績を残しました。
その時に酒巻氏が取得した特許の数は実に700件にも上ります。
その後それらの功績が認められ、1999年にキヤノンのグループ会社であるキヤノン電子の代表取締役に就任しました。
しかし当事酒巻自身はその移動を左遷と捕らえていたらしく、キヤノン電子の社長に就任するにあたってキヤノン本社にいくつか条件を出したそうです。
例えば、今後3年間酒巻宛に来た封書などについて本社で開封することなく酒巻自身に転送して欲しいとか、あるいはキヤノン電子の社員から出る不満や非難は取り合わないで欲しいといった内容でありました。
そういった条件の裏には、当事赤字が続いていたキヤノン電子を立て直すには思い切った改革が必要であり、それらを実行すれば社員から非難や不満が出ることを見越しての条件だったと言われています。
現に酒巻が社長に就任して数年間は非難の声がキヤノン本社に山のように上がっていたといいます。
しかしそんな非難などを浴びながらも酒巻はキヤノン電子の利益を5年で10倍にまで延ばしました。
そしてその事で一躍その名は全国に広まりました。
その経営者としての知識やノウハウを活かして本を何冊か出版しています。
また精力的に講演などもこなし、考えと知識を全国に広めています。
ずば抜けたリーダーシップと徹底主義

酒巻久の著作本の中に「椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる」という代表作があります。
この本はタイトルから分かる通り、会社から椅子とパソコンを一部必要な場所を除いて排除することを訴えているのですが、この本が出版されたのは2005年7月です。
その頃すでに会社にとってパソコンは必要不可欠なものになっていましたし、デスクワークをする上で椅子はあって当たり前になっていました。
ですが、驚くことに酒巻はキヤノン電子で実際にこれを行っていたそうです。
そして利益10倍という結果を出しています。
酒巻氏曰く、まず会議室における成果としては会議に集中できるようになり、年間の会議時間が半分に減ったとのことです。
また、オフィスでも椅子をなくした結果、社員同士のコミュニケーションが円滑になり問題解決の時間などが大幅に短縮されたそうです。
この本についてはまさに賛否両論が起きましたが、私は一理あると思います。
椅子をなくし立っている事で筋肉が使用され、眠気に襲われる心配や集中力が切れるといった心配がなくなるからです。
ですが実際の会社で前例も無かったときにこのような施策を実施しようとすれば社員から反発をされるのは必死です。
しかし酒巻氏はそのずば抜けたリーダーシップで社員を説得し、実行して見せたのです。
また酒巻は別名「カイゼンの達人」とも呼ばれており、社長に就任した当事のキヤノン電子から徹底的に無駄・無理・ムラを排除し生産における不良率を100分の1以下に改善し、事業所の使用面積を8年間で6割削減、さらに使用電力を実に4割も削減しているのです。
さらに酒巻氏の快進撃はとどまることを知らず、キヤノングループとしても初の試みとなるロケット打ち上げを成功させ、インド宇宙研究機構(ISRO)からキヤノン初の人工衛星を軌道に乗せた。
酒巻氏は今後打ち上げた人工衛星を使ってカメラや複合機などで培った知識やノウハウを応用した恒星の配列を見るスタートラッカーなどの光学系部品やユニットの開発に力を入れキヤノン電子の宇宙事業の発展を目指しているといいます。
幾つになっても絶える事のないない探究心はどこまでいけるのでしょうか。
今後も酒巻久から目が離せません。
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