『嫌われる勇気自己啓発の源流「アドラー」の教え』はストーリー仕立てで腑に落ちる本だった




 

発刊以来のベストセラーとなった『嫌われる勇気』は、アドラー心理学について書かれた一冊です。

「すべての悩みは対人関係の悩みである」と看破し、嫌われる勇気を持てという趣旨はまさに目からウロコでした。

 

概要

アルフレッド・アドラー(1870-1937)は、オーストリア出身の精神科医で、フロイトやユングと並ぶ「心理学の三大巨頭」と称されました。

『道は開ける』のD・カーネギーや、『七つの習慣』のスティーブン・コヴィ―などその後の自己啓発のメンタ―達にも大きな影響を与えた人物です。

ここでは、そのアドラーの教えを、現代人にもわかりやすく、哲学者と青年の対話形式でまとめた一冊となっています。

語り手となる哲学者によれば、アドラー心理学は、ギリシア哲学と同一線上にある思想であり、哲学であると同時に、堅苦しい学問ではなく、人間理解の真理として受け入れられているといいます。

著者は、アドラー心理学の一人者である岸見一郎氏と、インタビュー記事を得意とするライターの古賀史健氏です。

日本ではこれまであまり知られていなかったアドラー心理学の真髄を学びながら、対人関係をはじめ、人生に迷い悩む人々への新しい指針となる具体的な処方箋が語られていきます。

 

内容

ある古都のはずれに、世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる、と説く哲学者が住んでいました。

悩み多き青年が、納得がいかず、その真意を問いただそうと訊ねたところから、物語は始まります。

こうして、アドラー心理学の教えの真髄を伝える哲学者(哲人)と血気盛んな青年と対話によって、「どうすれば人は幸せに生きれるか」という人生への処方箋が明かされていきます。

哲人によれば、世界と人生はシンプルです。

しかし、誰しもが客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけした主観的な世界に住んでいるため、自分自身が世界を複雑なものとしているといいます。

問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるか、で、世界を直視する勇気があれば、人は変われると青年に語りかけていきます。

過去やトラウマに原因を求めがちな青年には痛く響く内容も少なくありませんが、冷静で明確な哲人の指摘は、きわめて現実的で示唆に富んでいるのでした。

自分自身に対しても、対人関係においても、そして世界との関係の中でも、結局は自分がどう物事を捉えるのかに焦点があてられています。

 

感想

私は以前から、これまでいろいろな心理学や自己啓発書を読んでいたので、アドラーの教え自体になじめないということはありませんでした。

とはいえ、この本が評判となった際に、言っていることはわかるが、気持ちとしては受け入れがたいという人がいたこともわかります。

例えば、冒頭から、引きこもっている友人について、過去の「原因」を問題とする青年に対し、哲人は今の「目的」を考えよといいます。

それは「不安だから出られない」でなく「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」と考えるのです。

実際、抵抗があるかもしれませんが、これは一面の真理で、ここを理解して認識できれば、人生を先に進めることができるというのは、ちょっとした驚きでもありました。

また、タイトルにある「嫌われる勇気」についてですが、私たちは他者の期待を満たすために生きているのではない、というくだりにも目が開かれる思いがしました。

「自由とは、他者から嫌われることである」とは、これまでの常識を離れて、逆に実に前向きな気持ちにさせてくれます。

「アドラー」の教えを学びつつ、また読み物として、青年が鉄人に食い下がっていく様子もどこか面白く、飽きることもありませんでした。

確かに私たちが巧妙に言い訳をしている現実を認めることにはつらい面もありますが、真理を知って、自分の人生を幸せなものにすることこそが一番ですね。

さらに自己受容し、今できることを真剣かつ丁寧にやる、つまり今を生きるということ、日々の暮らしの具体的な生き方もわかりやすかったです。

 

嫌われる勇気を怖れない「アドラー」の教え

熱い青年と落ち着いた哲人の会話には、思わずどんどん引き込まれて、読み進めることができました。

人それぞれが抱えている悩みに対しての根本的なアプローチは、何らかの解決策をもたらしてくれると思います。

 

アドラー心理学をわかりやすく広めた岸見 一郎氏

2018.08.05









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