『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』はベストセラーになって非常に有名になった本です。
この記事ではその内容と感想をレビューしていきます。
執筆者の概要と本書の内容

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を書かれたシバタ ナオキこと柴田尚樹氏は楽天で史上最年少執行役員だったというキャリアを活かしてアメリカのモバイル・アプリ検索最適化ツールであるSearchManを共同設立した人です。
以前から柴田尚樹氏は決算に関する記事をnote上に連載していましたが、この連載内容が好評を呼んで、加筆増補されたものが本書です。
ビジネス書としては空前のベストセラーになっています。
既に企業会計については多くの書物が販売されていますが、堅い調子で面白さとわかりやすさに今ひとつ欠ける傾向がありました。
そのため、日ごろから忙しいビジネスマンには少々つらい内容でしたが、本書はYahoo!、Amazon、Paypal、Squareなど多くの人に知られている企業の決算情報を基にしてそのサービス動向や経営戦略を読み解いていってとても面白く読むことができます。
読み進めるのに億劫さはまったくなくて、自然と会計知識が備わるようになっています。
これから起業しようと考えている人、既に起業している人、ビジネスマンには強くおすすめできる内容です。
ECビジネスの決算、FinTechビジネスの決算、個人課金ビジネスの決算、企業買収(M&A)と決算など興味のある章がたくさんあります。
どのセクションから読み始めてもいいでしょう。
習慣化の重要性

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を読んでみて感じたことは、決算を読む行為というのは野球やサッカーなどのスポーツと同じことだということです。
決算を正しく読み解いていくには、業界に関する知識を把握して企業ごとの特徴を知る必要がありますが、企業の決算情報を何度も何度も見続けなければいけません。
スポーツの反復練習と同じように習慣化していく必要があるなと思いました。
本書ではどうやったらその継続力を楽に身に付けていくことができるかといった具体的な方法論まで書かれていて非常に画期的です。
実は私はこれまで決算書のハウツー本を読んだことがなかったのですが、具体的な事例とともに初心者が陥りやすいミスやその解決方法にまで言及しているので、楽しく読み進めていくことができました。
特に、さすがに楽天の役員を務めていたこともあってECビジネスの企業に関しては非常に詳しく書かれています。
初めて目にすることも多かったです。
類書にはない独自性

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』は従来とは異なる説明の仕方が特徴的です。
これまでの類書では決算書を読むときにはROAやROEを分解してから分析することや、流動比率から支払い能力を見ることが重要視されてきましたが、これらは初心者が取り組むには少々難解です。
そのレベルに達する前に諦めてしまう人が多く、せっかく知識を身につけても無駄になることも多いです。
本書ではそうした説明がまったくありません。
決算書を読む上で重要な視点が具体的な企業を取り扱いながら説明されています。
数字はどのように理解したらいいか、どの数字とどの数字がつながっていて決算を構成しているのか、抽象論に陥りがちな内容にもかかわらず、すんなりとわかるようになっています。
こうしたことは従来の類書と決定的に異なる点でしょう。
また、業界ごとに決算書の読み方が異なりますので、興味のある企業の決算書の主な数字は「暗記する」というスタイルが提案されているのも重要です。
それぞれの業界の平均的な売上や利益やビジネスモデルなどを把握することで、さまざまな企業の決算書を少し見ただけで儲かっているかどうかが一目瞭然でわかるようになります。
そのため、投資家にとってもおすすめできる内容になっていますし、会計の仕事をしていないビジネスマンが決算書を読むきっかけにもなります。
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』のレビューのまとめ

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』はこれまでにはない決算書の読み方のハウツー本です。
会計知識がない人でもおすすめできる内容になっています。
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