【書評】「右脳思考」著:内田和成 垣間見える天才コンサルタントの頭の構造とは

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本書は天才的なコンサルタントの思考や発想方法を整理し分かりやすく解説したものです。解説用として「右脳と左脳のキャッチボール図」が掲載されており、方法論が明確に示されています。

 

右脳思考の要点は「勘」

 

本書を読むことで、天才コンサルタントの頭の構造を垣間見ることができます。

右脳思考の要点をまとめると、一言「勘」と表現されています。
但しそれは単なる思い付きとは異なるもので、既存知の積み重ねにより生まれるものです。

多くのカリスマ経営者も最終判断を「勘」に委ねていますが、根底に確かな「知」があってこその話です。
そして、先ずはその「知」に到達することが重要だと述べられています。

与えられた課題に対しては、右脳を使った解決方法を探るよう求められています。通常は左脳を使って、論理的な解決方法を探るものです。しかし、それでは一面だけのアプローチとなり、本質的な解決にはなりません。
全体を統合的に捉えるには、右脳による直感に頼るしかないと言えます。

アイデアを生み出そうとする際、ロジカルな思考だけに頼るのは禁物です。
寧ろ「勘」から始めることで、ユニークなアイデアに到達できるものです。対人関係は右脳としての感情に基づいており、左脳を使ったロジカルな説得が通用しない側面があります。
こうした見立ては戦略を立案する部署にとって有益であり、上司や役員を説得する際の参考になります。

 

左脳偏重主義は人間関係を損ねる

 

本書では左脳的ロジカル思考と、右脳的直観力の使い分けについて書かれています。
ビジネスシーンにおける具体例も示されており、現場に実践にも役立つ本です。

但し全体の内容は一般人向けであり、誰が読んでも人生にとって有益な示唆が与えられます。
通常、科学の世界においては、ロジカルな思考が全てと考えられています。実際、殆どの研究者は左脳を専ら使っており、何事においても論理を重んじています。

一方、対人関係においては、ロジカルな思考が必ずしも有効とは限りません。場合によっては非合理と思える相手とも、付き合わなければならなくなります。左脳偏重主義は、人間関係を損ねる元だと本書は教えています。

また、著者は一連の流れを分かりやすい言葉で解説しており、実際の事例を交えながら興味深く読ませています。まさに、ビジネスの深淵を垣間見られる一冊と言えます。

本書は基本的に左脳系の基礎を学んだ人向けに書かれており、実践の書として位置づけられます。
特に、ロジカル思考に限界を感じている、MBA取得者などにおすすめの本です。それ故、論理的思考の基礎を学びたい人は、前著となる「論点思考」と「仮説思考」を参照すると良いと言えます。

 

右脳思考とAI的思考

 

右脳思考を突き詰めて考えてみると、AI的思考に近いものがあると分かります。

AI的思考としての「勘」は、無意識のクラウドから生じるものです。このクラウドには知識や経験が情報として蓄積されており、ビッグデータが形成されています。
ビッグデータを解析するには、統計学的手法によって因子同士の相関を見つける必要があります。

これはAIそのものの働きと同じで、相関に辿り着くまでの過程は不明となります。AIが統計学的手法で相関を見つけているとすれば、私たちの「勘」による問題解決も多くの情報・経験を必要とすると言えます。

 

未知の領域に対しては左脳思考

 

相関関係を見つけるのは右脳の役割であり、「勘」は左脳の働きを上回ると筆者は述べています。

脳には莫大な量の情報が蓄積されていますが、個々の情報を結びつけるのが右脳の働きです。それは左脳が抽出する情報よりも、はるかに精度が高いものです。

但し、経験値の低い人間に関しては、右脳思考に必要な情報が足りないことがあります。即ち、十分な経験値があってはじめて、右脳思考としての「勘」が働くと言えます。

科学の現場においては、それまでの経験が役に立たない、未知の領域を扱うことがあります。この領域に関しては、「勘」ではなく、ロジカルな思考がモノを言うようになると言えます。

 

思考論の完結

 

本書では「勘」を働かせることで、アイデアが生み出されるまでの時間が短くなると主張されています。
著者は過去に「仮説思考」と「論点思考」の2部作を出しており、本書で思考論が完結されています。

内田和成氏の経歴とは?

2019年3月3日







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