「THINK WILD」では、メンターキャピタリストと称される著者が起業家として成功するための心構えを綴っています。
数多くの有名起業家の体験談が掲載されており、説得力を持って迫ってきます。
メンターの必要性

一般的なメンターのイメージは生涯を通じて教え導いてくれる存在ですが、それだけに限定されないというのが本書の主張です。
起業を目指すときや業績が軌道に乗ったとき、そして事業を拡大する決断をするときなどに人はメンターの存在を求めます。
但し、それぞれの場面によって求められるメンターも変わると述べられており、必ずしも同一のメンターに頼る必要はないようです。
私の経験上でも、ある時は年上のメンターの助言が必要で、またある時は年下の単純な一言が目を開かせてくれることもあります。
即ち、普段の生活や仕事上のメンターは複数持つことが良いと言えるでしょう。
但し、身近な友人や家族のアドバイスをそのまま受け取るのは危険だとも述べられています。
身近な存在は自分のことを知っているようで、実は真の姿をとらえきれていない面があるからです。
実際、日常というカーテンが引かれているため、本人の可能性や能力に気づかない場合も多いと納得できました。
自分のエゴに打ち克つ

メンターを探す上で最大の問題は、本人がメンターを必要としていることに周囲が気づけないことです。
それ故、自分は弱く傷つきやすい存在であることを普段から周囲に告げておくことが大切だと書かれています。
起業家は孤独な存在であることが当たり前とされますが、実際には多くの人の助けを必要とします。
数多くのメンターがいるからこそ、孤独に耐えて進めるのだと感じました。
何より重要なことは自分のエゴに打ち勝ち、自分の弱さを告げる行動ができることです。
多くの場合は起業の準備を整えてから、必要なサポートを受けようとします。
しかし、それではあくまで主体は起業する本人であって、選択的なサポートしか受けることが出来ません。
その結果、行動自体も制限されることになり、結局自分の全財産を投げ打つしかなくなると述べられています。
最初から周囲のサポートがあれば、気負わずに事業に取り組めるでしょう。
何よりリスクを分散できるので、大きな痛手を負わずに済むのが大きなメリットだと思います。
小さな実験の積み重ね

起業とはリスクを取ることですが、小さなリスクを取りながら進めるのが成功のカギと本書では記されています。
事業とは小さな実験の積み重ねであり、失敗を重ねながら軌道に乗るものだと改めて感じさせられました。
そして、起業したならば一気に事業を拡大せず、一歩ずつ地道に進めることを心がけることが肝心です。
また、失敗例の大半は急激な事業の拡大に起因しており、殆どが起業家の独断によるものです。
それ故、信頼できるメンターの存在というものが起業にとっては欠かせない役割となります。
メンターは外部から事業を冷静に見てくれるので、無謀な暴走に忠告を与えてくれるからです。
起業したての頃は猪突猛進の心理が働き、周りが見えなくなりがちです。
それに対して、メンターの冷静な視点は丁度よいブレーキとして働くと著者は言います。
また、ゆっくりと確実に成長する起業のほうが、実は急成長と遂げた起業より何倍も大きくなるという調査報告がなされています。
時には大胆な行動も必要

「THINK WILD」では、起業とは必ずしも特別なことではないと書かれています。
そして、周囲の支えやコツコツとした取り組みが大切だと教えられました。
著者自身も起業家として多くの失敗を経験しており、その実体験からメンターの重要性を訴えています。
また、本書の中では起業タイプごとの心がけやリスク管理についても言及されているのが特徴です。
リスクに立ち向かう際には、心理的な障害が大きくなるので、著者は独りで行動するなと言います。
大切なのはメンターに相談し、そのアドバイスを謙虚な気持ちで受け入れることです。
一方で自分の可能性を低く見積もるなとも、著者は励ましています。
大きな成功を掴むためには、時には大胆な行動に出ることも必要だからです。
それを後押しするのもメンターの役割で、優れたメンターであれば適切な時期に新たな一歩を踏み出させてくれます。
事業の拡大には逆張りを意識した発想も必要なことが分かりました。
役に立つ実践の書

本書は一般的な常識に囚われている人には受け入れがたい面があります。
しかし、内容に興味を持つ人には十分に役に立つ実践の書だと言えるでしょう。
特に私はメンターに対する謙虚な姿勢を学べたと思います。
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